パーキンソン病とは?原因・初期症状・治療法を解説
パーキンソン病とは

パーキンソン病は、脳の深部にある黒質という部分の神経細胞が徐々に減少し、運動機能に障害を引き起こす進行性の神経変性疾患です。この黒質の神経細胞は、運動を調節する神経伝達物質であるドパミンを生成しています。神経細胞の減少によりドパミンの量が不足することで、運動症状が現れます。
パーキンソン病の主な症状
パーキンソン病の主な運動症状は、以下の4つです。
- ①振戦(しんせん)
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- 安静時に出現しやすいふるえで、特に手足にみられます。
- 「丸薬を丸めるような」と表現される特徴的なふるえ方をすることがあります。
- ②筋強剛(きんきょうごう)
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- 筋肉がこわばり、関節の動きが硬くなる症状です。
- 「歯車様硬直」と呼ばれる、関節を動かす際にカクカクとした抵抗を感じることがあります。
- ③無動・寡動(むどう・かどう)
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- 動作が遅くなり、動きの量が減る症状です。
- 歩行が遅くなる、表情が乏しくなる、声が小さくなるなどの症状が現れます。
- ④姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい)
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- 体のバランスを保つ反射機能が低下し、転倒しやすくなる症状です。
- 進行すると、前かがみの姿勢になりやすくなります。
これらの運動症状に加えて、パーキンソン病では以下のような非運動症状も現れることがあります。
- 自律神経症状
- 便秘、排尿障害、起立性低血圧、発汗異常など
- 精神症状
- うつ、不安、幻覚、認知機能低下など
- 睡眠障害
- 不眠、レム睡眠行動障害(睡眠中に大声を出す、暴れるなど)
- 感覚障害
- 嗅覚障害、痛み、しびれなど
パーキンソン病の原因
パーキンソン病の根本的な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、以下の要因が関与していると考えられています。
- 遺伝的要因
- 一部のパーキンソン病は、遺伝子の変異によって発症することがあります。
- 環境要因
- 農薬や重金属などの環境物質への曝露が、発症リスクを高める可能性があります。
- 酸化ストレス
- 体内で発生する活性酸素が、神経細胞を傷つけることで発症に関与する可能性があります。
- 年齢
- 高齢になるほど、発症リスクが高まります。
パーキンソン病の診断

パーキンソン病の診断は、以下の要素を総合的に判断して行われます。
- 症状の確認
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- 特徴的な運動症状や非運動症状の有無、経過などを詳しく確認します。
- 神経学的検査
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- 医師が患者さんの動きや反射などを観察し、神経系の状態を評価します。
- 画像検査
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- MRIやCTなどの画像検査で、脳の状態を確認します。
- DATスキャンといったドパミン神経の状態をみる検査も実施されることがあります。
- 薬物療法への反応
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- L-ドパ製剤などの薬を投与し、症状の改善が見られるかどうかを確認します。
パーキンソン病の治療
パーキンソン病の治療は、症状の進行を遅らせ、日常生活の質を維持することを目的として行われます。
- 薬物療法
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- L-ドパ製剤、ドパミンアゴニスト、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬など、さまざまな薬が使用されます。
- 病気の進行度や症状に合わせて、薬の種類や量を調整します。
- リハビリテーション
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- 運動療法、作業療法、言語療法などを行い、運動機能や日常生活動作の維持・改善を目指します。
- 手術療法:手技
- 脳深部刺激療法(DBS)など、薬物療法で効果が不十分な場合に検討
- 生活習慣の改善
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- バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠などを心がけます。
パーキンソン病と生活

パーキンソン病と診断されても、適切な治療と生活習慣の工夫によって、多くの方が自分らしい生活を送ることができます。
- 病気と向き合う
- 病気について正しく理解し、前向きな気持ちで治療に取り組みましょう。
- 周囲のサポート
- 家族や友人、医療機関、患者会など、周囲のサポートを活用しましょう。
- 情報収集
- 信頼できる情報源から、最新の治療法や生活情報を収集しましょう。
パーキンソン病でお困りの方はお気軽に西宮ゆたかクリニックにご相談ください。